作品の了見


アルシュ水彩紙(細目180g)21.2cm×31.6cm 丸ペン、スプーンペン、証券用インク、ホルベイン水彩


2013年3月に狭心症で倒れ、普通であれば簡単なカテーテル手術で済む筈が、僕の心臓の血管は他人の倍あると判明。
倍ある血管が「死ぬ手前まで塞がっていた」ということは、そーとーヤバイ状況な訳で、
それも比較的メインの血管が閉じかかっていて、通常使用するステンレスの管が使用できず、2ヶ月ほど病院と自宅で待機することになった。
病院から適切な薬を処方して頂いていたので、再度発作が起きることも無かったが、
しかし逆に「頭の中ははっきり」していて、
別に「気分が悪い」訳でもなく、
体だって「無理をしなければ問題なし」の状態で、
しかし、

「カテーテル手術が巧くいかないと命そのものが危険」

なのだから、こんなに性質の悪いブラックジョークはない。
そんな中で、ラジオで始めてももいろクローバーというアイドルチームの存在を知り、これにはとんでもない衝撃を受けた。
「こういう面白い子達が現れるんだから、この世も捨てたものではない」
「もっともっと素敵なものと出会う為に、生きよう」と決心した。

自宅療養中、先生の処方してくれた薬が効いたのか、
毎日自炊していた料理が正解だったのか、
体力作りに始めた野良仕事が正しかったのか、
いざカテーテル手術で右手首の血管に細い管を突き刺し、そのまま管が心臓に到達、レントゲンで問題の患部を撮影してみたが…
何故か【死ぬ手前まで詰まっていた血管】が通常の太さに戻っていた…。

簡単に申せば、僕の血管は不養生すればすぐ詰まり、キチンと管理すればなんの問題もないということ。
しかし血管が詰まりやすいという事実は変わらない。
心臓にステンレスの管が2本入っているのも相変わらずのことだ。


今回の作品はそんな最中に描いたもの。
自分で言うのもなんだが、この人生最悪の状態で、それでも描く作品の【瞳】は死んではいなかった。
いや寧ろ、病気になる前より目ヂカラが強くさえなっている。

僕は病気になって以降、自分の作品でテクニックを追うことをやめ、
テーマがどうたらと表層心理で考えるくだらない理屈は持ち込まず、
ただひたすら描くべきものを描くようになった。

この作品もまた、サンショウウオみたいなものを描きたかったので描いただけであり、意味はない。
意味は無いが、よく分からないけど【一生懸命生きてるって感じ】の作品になったので、きっとそれがこの作品の【了見】なのだろう。
描くべきものをキチンと自分が見失わなければ、
作品のテーマは勝手に後からついてくるものである。
理屈などいらない。
ただひたすら、描くべきものを描くだけである。

コメント

人気の投稿